英語学習の材料置き場

上級英単語Botのエクステンションです。主にリスニングなど、英語学習に役立ちそうなものを紹介していきます。

【英文法】オックスフォードカンマ

日本の英語の教科書では、3つ以上のものをAndでつなぐときは、

A, B, C and D

のように、最後の二つのものの間はカンマではなくandを置く、と定められています。

しかし実は、 A, B, C, and D のように、Andの前にカンマを置いた方が良いという説もあります。この And の後のカンマはオックスフォードカンマと呼ばれていて、今でもその有用性は議論されています。

この問題について説明しているTED edの動画を紹介します。

動画

www.youtube.com

内容

例えば、友達のパーティー企画を手伝っているときに、

Bring Bob, the DJ and a clown.

というメールが友達から送られてきたとします。

Bobの後にあるカンマが同格を表すものだとすると、意味は「DJでありピエロであるボブを連れてきて」という意味になりますね。

ボブはDJもピエロ訳もこなせるんだ!と驚くかもしれません。でもパーティー当日、そうではなく、「ボブとDJとピエロを連れてきて」、という意味のメールだったことが判明しました。

もしメールの本文が

Bring Bob, the DJ, and a clown

だったらこの手違いは起こらなかったでしょう。この、Andの前にあるカンマは、The serial comma,またはオックスフォードカンマと言われています。このカンマが使われるべきか廃止されるべきかは長年にわたって議論していて、現在、有力な言語組織の間でさえ結論は出ていません。

そもそもオックスフォードカンマを使う国はあるの?

オックスフォードカンマは、皮肉なことに主にアメリカで使われています。AP Style Bookという、論文の書き方などを定めている組織からは推奨されていませんが、MLA, シカゴスタイルマニュアル、合衆国政府印刷所などではオックスフォードカンマが使われています。イギリスなど他の英語圏でも、オックスフォード大学出版社を除いては使われていません。

使わない理由

そもそも、And, or, yet, so, nor, forなどの接続詞には、もともと違うもの(同一でないもの)を示す働きがあります。また、物の順序を変えることで混乱を防ぐこともでき、カンマは必ずしも必要ではないのです。また出版関係では、カンマは文字数を増やし、文章が散らばって見えるので嫌われています。

現在では

このカンマが使われるべきかどうか、熱い議論が行われていましたが、今ではいくつかの定説が定められました。もしカンマを使った方が混乱を防げるのなら、使っても良いです。しかし、一回使ったならその文章内では使い続け、使わないスタンスで行くのなら一回も使ってはいけません。なので、事実上「必要な時だけ使う」ということは不可能です。

そして問題は残る…

例えば、パーティーの次の日に、こんなメールを受け取るとします。

Everyone had a great time - ninjas, pairates, vikings, old and young.

もしオックスフォードカンマが必須とされていれば、この文章では、忍者、海賊、バイキング、という三種類の人たちが集まり、それぞれ若かったり年配だったりした、と読み取ることができます。

しかし、オックスフォードカンマが正式出ない現在では、上の解釈に加えて、忍者、海賊、バイキング、老若、の4種類の人が集まったとも読み取ることができます。

育った環境によって、どちらの書き方を好むのかは分かれます。しかし、書くものによっては大変な勘違いを引き起こすこともあるので注意しましょう。

例えば、I dedicate this book to my Ayn Rand and God.

と書いたら、「私はこの本を私の両親アン・ランドと、神さまに書きます」ではなく、「私はこの本を、神さまである私の両親アン。ランドに書きます」と解釈されてしまう可能性も0ではないのです。

文法書では…

じゃあ結局どうすれば良いんだ!!と思い、重宝しているPractical English Usageで調べてみましたが、そこには

”We can use commas to separate items in a series or list. A comma is not usually used with and between the last two items inless these are long”

と書かれています。つまり、基本は使わないけど、一つ一つの名前が長いものを並べるときにはカンマを使う、ということらしいです。この本はオックスフォード大学出版社から出ている文法書なので、もしかしたらアメリカの文法書には違うことが書かれているのかもしれません。

少なくとも、日本で英語の試験を受けるときは使わない方がよさそうですね。

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