英語学習の材料置き場

上級英単語Botのエクステンションです。主にリスニングなど、英語学習に役立ちそうなものを紹介していきます。

【独り言】文法教育ではネイティブと通じることができないのか

お久しぶりです。大学が忙しくてなかなかブログの方を更新することができませんでした。

 

さて、今日言語学の授業で中国人の教授がホワイトボードにこんな文を書きました。

I always relied on the kindness of strangers.

これを見た英語のネイティブスピーカーたちは、「この文にTheがあるのはおかしい。なんか気持ち悪い」と教授を責めました。

一方教授は、「ニュアンスがちょっと変でも、この文は文法的には合ってる」と反論。

 

なぜでしょう?

Kindness of strangers、訳すと「他人のやさしさ」は、不特定のものであり、誰の、どのやさしさなのかわかりません。なので、限定の役割のあるTheを付けてしまうと、あいまいなもののはずなのに限定されていて意味が通じなくなるのです。

しかし、ネイティブスピーカーたちは、Theの使い方は知っていてもTheの文法的役割は良くわからないので、なぜこの文がおかしいのかを説明することができません。

中国人の教授からすれば、この文は文法的には合っていて、なぜおかしいと言われるのかはわかりません。中国語は日本語と同じように定冠詞が存在しないからです。また、どの単語は限定しても良くてどの単語は限定してはいけないかはとても曖昧で、文脈によっても変わるので見定めるのが難しいです。

しかもこのKindnessという単語は、「優しさ、優しくする性質」を示すときは譜可算名詞で、「優しい行為」を指すときは可算名詞になります。文脈によってTheが付いたり付かなかったりするので文法的に言えばとてもややこしい単語です。

 

ネイティブたちも教授も、相手が何を考えているのか理解出来ていなかったし、それを言葉で説明するのはさらに難しいので、この問題はスルーされました。気まずい雰囲気でした。

 

 

教授の母国語である中国語や、日本語などには冠詞というものが存在しません。なので、どの冠詞が自然でどの冠詞が不自然か見極めるのは時に困難です。文法的に合っていても不自然な文はいくらでもあります。私が一時期日本産の英語の教科書を使って教えていた時も、うまく説明はできないけど不自然な文は沢山ありました。

私は文法教育が悪だとは思いません。文法も英語の一部だから大切です。しかし、文法を通して英文を理解する癖をつけてしまうと、ネイティブと同じように英文の意味を汲み取ることができなくなってしまうのは確かだと思います。

そういえば近年、文法教育VS理解する学び、みたいな論文が韓国のTESOL協会で提出されました。書いたのはKrashenです。今度時間がある時に要約してブログに上げようと思います。