英文法は重要なのか【リスニング】
日本で育った人なら、授業で英文法を学んだことがあるはずです。しかし実際にネイティブスピーカーの英語を聞いてみると、くだけた文法が使われていたりします。
日本人が日本語を使っているときも、文法を間違えたりしますが、特に問題なく会話できますよね。
では、文法はそれほど重要じゃないのでしょうか?
そんな疑問に答える動画がTedEdから出ているので、今回はそれを紹介します。
動画
内容
友達にとても良い話を話していて、一番盛り上がるシーンに入った瞬間、
「Me and the alienじゃなくてThe alien and Iだよ」
と、話を遮られたら, たいていの人はイラっとすると思います。
話を中断したのはさておき、その文法の指摘に意味はあるでしょうか?もし、文法的に間違っていても意味がちゃんと伝わっているなら、文法的におかしくても問題ないのではないでしょうか?
文法とは
言語学的に文法は、単語同士がどのようにして組み合わされて文節や分を作るかのパターンで、書き言葉にも話し言葉にも適応されます。言語によってこのパターンは違います。
英語では、たいてい主語が文頭に来て、動詞と目的語が続きます。日本語や、その他たくさんの言語では、この順序は主語、目的語、動詞です。
どの言語にも共通する性質を見つけようとした学者たちもいました。しかし、「名詞と動詞がある」などの基本的な性質の他、普遍的な言語の共通点はありませんでした。
ただ言えるのは、どの言語も特有のルールがあり、そのルールに従って文章が組み立てられているということです。これらの点を研究しているうちに、ある論争が生じました。Prescriptism とDescriptivismの間の論争です。
PrescriptivismとDescriptivismとは何か
端的に言うと、Prescriptivismは、言語は決められたルールに則るべきだという考えで、Descriptivismは、言語の性質として逸脱や適応が不可欠という考えです。
歴史
古代では、言語といえば話し言葉が主でした。しかし、人々の交流が増えると、書き言葉の需要も増えました。適切にコミュニケーションを取るために文法が制定され、遠くにいる人とも通じるようになりました。
多くの言語において、そのルールに則ったものだけが正しい文章だとされました。そのルールでさえ訛りだったりしますが、その時一番勢力があった地域の言葉が正しいとされました。言語純正主義者は、このルール、つまり文法を普及させようとしました。もとは文法は書き言葉のものでしたが、やがで話し言葉でも使われるようになったのです。
文法的に間違っている話し言葉は腐敗とされ、社会的な地位が低い印とされました。間違った文法で話していた人たちも、この文法を習得しなければなりませんでした。
話し言葉と書き言葉
しかし最近になって、話し言葉は書き言葉とは違うことが明らかになりました。人は、記憶にないほど幼い段階で話し言葉を習得します。それは文法を覚えることによってではなく、聞いたものを繰り返すことによってです。また、話すときには表情やイントネーションも使われるので、話し言葉の構造はとても柔軟で、話し手や聞き手は比較的自由に話すことができます。例えば、瞬時に理解するのが難しい複雑な構造を避けたり、発音しやすい言葉を選んだりできます。また、早く話すために省略したりもします。
このような話し言葉のパターンを、間違ってるか間違ってないかを気にせずに分析するのがDescriptivismです。言語がどう使われるべきか、ではなく、実際にどのように使われているのかに焦点を当て、言語の進化を研究するのです。
PrescriptivismとDescriptivismの間の論争は今も続いていますが、この二つは全くの真逆ではありません。
Prescriptivismは、言語の基本的なパターンを人に教えるときに便利です。文法のルールを知れば、オフィシャルな場面や、ネイティブではない人同士が会話するときに役に立ちます。
Descriptivismを使えばは、私たちの思考がどう働くのかを知ることができ、また世界を理解することができます。
日本語でも、「ら抜け言葉」などが議論されたりしていますね。でも同時に、「えもい」「わんちゃん」など、新しい言葉も次々と生み出されています。たいていは数年で消えてしまいますが…
私個人的には、こういった砕け言葉は良いと思います。言葉を見れば、その年代や時代背景を察することができるし、世代によって違う言葉を使っているというのは面白い文化だと思います。それに、正しい文法にこだわったり過ぎたら新しい言葉や表現が生まれなくなってしまいます。
ただ、言語を学習する身としては、くだけた文法や、生まれては消える流行り言葉は厄介ですよね。しかも英語に関して言えば、地域によって使われている文法や単語が全然違ったりします。
英語ネイティブでさえ、違う地域の英語を理解できなかったりするのですから、英語を学習している人が100%英語を理解できなくても、それは仕方ないのかもしれません。