【洋書】Fahrenheit 451
この前も紹介したRay Bradburyですが、今回は彼の短編ではない作品を紹介したいと思います。
世界観
これは未来、本を読むのが禁止されて、人々が機械に囲まれて生活する世界の話です。この世界の消防士の仕事は、火を消すのではなく、本と、その本を持っていた人の持ち物全てを焼き払うことです。危険な本を焼き払うことで世界の平和を守る、それが消防士であり、主人公も消防士でした。
人々は機械を「家族、親戚」と呼んでいて、本物の家族ではなく機械と会話します。機械はいつもトレンドや楽しいメディアを発信しているので、人々はそれを見て楽しみ、物事について深く考えたり、生産的なことをしません。そんな世界での物語です。
テーマと分析
この小説にはいくつかのテーマがあります。テクノロジーと近代化、文学、規則、暴力、アイデンティティー、知恵、不満足、自然と人間、などです。
分かりやすいのはテクノロジーと近代化です。小説では、人々は大きなスクリーンを親戚と呼び、ほとんどの時間をそれを見て過ごします。
実はこれはテレビの象徴です。人々は家族と話したりするよりもテレビを見ることを好みます。自分で趣味や興味をそそるものを見つけて調べるのではなく、テレビが勧めるものを良いものだと思い、テレビの発信する雑学などを受身的に学びます。
物について真剣に考える時、人は幸せではないことが多いです。でも何も考えずにぼーっとテレビを見ている時、人は幸せだと感じます。頭を使わないからです。(化学的にも、テレビを見ているとき脳が働いていないということは証明されています)なのでテレビはこの小説で「悪」とされています。
これをRay Bradburyは何十年も前に予想しましたが、今の状況はこれにとても近いですよね。強いて言えば、テレビではなくてスマホですが、人々が画面に夢中になって、人と人とのかかわり、そして自らの学びを失いつつあるのは事実だと思います。
他にも、いろいろな主張がこの本に隠されています。詳しく知りたい人は、Shmoopというサイトに行くと、隠されたテーマや、キャラクターの性格の分析などを見ることができます。
Shmoopについて
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