英語学習の材料置き場

上級英単語Botのエクステンションです。主にリスニングなど、英語学習に役立ちそうなものを紹介していきます。

映画での英語の訛りを専門家が分析【リスニング】

英語の訛りに興味がある人はたくさんいると思います。

イギリスでは、相手の訛りだけで相手の住所を特定できるほど訛りは特徴的です。もちろん、アメリカ国内でもたくさん種類があるし、違う国、違う地域では異なる英語が話されています。

 

実際にイギリス人が日本人に対して

「君はロンドンの西に住んでたことがあるね?もっと発音を聞かせて。もう少しで正確な位置がわかりそうなんだ」

と言っているのを見たことがあります。かっこよかったです。(ロンドンの西、というのは合っていたけど、最終的に出した答えは間違っていましたが)

 

この動画では、映画に出てくるなまった英語を専門家が批評しています。日本でも、例えば俳優さんや女優さんの関西弁が不自然だと批判されたり、逆に賞賛されたりしますが、これはそれの世界バージョンです。

動画

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母音を聞き分けるのは難しいですね。

発音を変えるのは可能か

以前、イギリス人とオーストラリア人に、「例えば今までアメリカ英語しか話していなかった人が、イギリスのアクセントを完全に取得することは可能か?」と聞いたら、その場にいた全員に無理だ、と答えられてことがあります。

確かに、何年も英語圏に住んでいる人でも、日本人の英語は日本人だとわかりますよね。

個人的には、これはリズム感のせいだと思います。私の知り合いで、「アメリカ人かと思った!」と外人から認められている人が2人います。二人の共通点は、ちょっとカタカナっぽい発音に聞こえるけど、リズムは完璧、ということです。

私は逆に英語の発音記号をマスターしたのですが、リズムはさっぱりで、海外にいる日本人には「まるで日本の教科書みたいに一つ一つの発音が区切られていて気持ち悪い」と言われ、イギリス人には、「弱く発音するべきところが弱くなってない」と怒られました。

発音は難しいですね。

【リスニング】世界各国で異なる美の基準

最近はハリウッド映画などの影響で、世界共通の美しさが生まれつつあります。しかし今も、特に違う人種では美の基準が異なっています。

例えば、私が住んでいたマレーシアでは、薬局に行くと美白化粧水以外の化粧水が売ってないくらい美白が人気で、少し暗めのはっきりした色の口紅がトレンドでした。美白が人気なのは日本と同じですが、口紅に関しては、にじみ出る血色の良い色を好む日本とは対照的です。

今回はそんな違いを簡潔にまとめている動画を紹介します。アメリカの動画で、「アメリカが全て!だと思ってたけど実は違った」というスタンスです。視聴者もアメリカ人を前提としているので、見ていて違和感を感じる方もいると思います。

 

動画

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難易度

アメリカ英語です。プロのアナウンサーではありませんが、活舌はよく、喋り方もはきはきしています。たまに速いですが全体的には標準的な速さで話しています。

難しい単語は少なく、たとえわからなくても映像から予測できると思います。

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内容

体のライン

ベネズエラでは、大きな胸、締まっているウエスト、丸みのあるお尻が美しいとされています。この体形になるために、豊胸手術をする人も少なくありません。大統領が、「医者は女性に対して、胸が小さいのは恥であると説得してはならない」と批判しましたが、この風潮は今も続いています。

アパレルでも、胸の大きいマネキンを展示した方が売り上げが伸びるようです。

日焼け

特にアメリカでは、日焼けをすることは美のステータスになっています。日焼けサロンやビーチに出かけるのにお金をかけることができるのは、金持ちの特権だからです。

しかし、中国や韓国では真逆です。肌が黒ければ黒いほど、社会的地位が低いとみなされます。焼けている肌は、外での肉体労働を連想させるので、肌が白ければ白いほどお金持ちで美しいとされます。

アジアでは、出かけるときに日傘を使ったり、肌が白くなる化粧品や洗顔料を使う人が多いです。

肌の傷

友達の肌に傷があったら、「何があったの!?」と聞く人がほとんどだと思います。しかしエチオピアでは、傷は女性にとっては美しさ、男性にとっては勇敢さの表徴です。自分の肌をわざと傷つけて、生命力と美しさを表現するのです。

アメリカ人は傷を小さくしたり隠すためなら痛みも厭わないですが、エチオピアは真逆ですね。

二重

韓国で一番人気な整形は二重手術です。親が子供に整形をプレゼントすることも珍しくありません。西洋では二重が当たり前ですが、整形してまで二重になろうとするアジア人は実はたくさんいます。

しかし、これは韓国人が白人になりたがっているのではなく、ただ単にポップスターの真似をしているだけです。Kポップスターは大体整形しているので、ファンも整形をステータスだと思って手術します。

眉毛の太さ

たまに細い眉毛が流行る時期もありますが、1940年代からずっと、ふっくらした眉毛がアメリカでは主流です。特にメキシコでは、太い眉毛は美の象徴とされています。黒くてカールのある髪、紅い唇、太い眉毛がメキシコの美顔です。

現代では、わざわざ眉毛を染める人は少ないですが、やはり太い眉が好まれていて、最近ではヨーロッパでも流行り始めています。

 

 

【リスニング】モーツアルトの魔笛に隠された秘密

「夜の女王のアリア」でも知られる魔笛は、モーツアルトの代表作の一つです。音楽が素晴らしいのは一目瞭然ですが、ストーリーについては、テーマなどが分かりにくいです。今回はそんな魔笛の秘密を説明してくれているTED Edのビデオを紹介します。

 

動画

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難易度

TED Edなのでナレーションはゆっくりで聞きやすいです。多少音楽用語が出てきますが、日本語のカタカナ用語と似ているものが多いと思うので、理解もしやすいと思います。

ただ、魔笛の序曲やストーリーを知らない人は、内容をイメージしにくいかもしれません。魔笛は面白いオペラなのでぜひ一度見ることをおすすめします。

 

内容

タミーノ王子が、ドラゴンに追いかけられ、暗い森を駆け抜けます。食べられそうになった瞬間、三人の謎の女が現れ、凄まじい喊声でドラゴンを殺しました。こうして、モーツアルトの、Die Zauberflöte(ドイツ語)、魔笛は幕を開けます。このオペラは、歌とセリフのある古典オペラの一種であるシングシュピールで、1971年に、ウィーンで初演が公開されました。

子供向けのおとぎ話のように見えますが、この複雑なオペラの中にはたくさんの破壊活動的なシンボルが含まれています。今では、歴史上もっとも影響力のあるオペラだったと言われています。

タミーノの森での逃走は、旅の始まりにすぎませんでした。三人の女は、彼女たちのリーダーである夜の女王を呼んできます。彼女は、ドラゴンから助けた見返りに、娘のパミーナを、邪悪な魔術師ザラストロから救い出す旅に出るように命じます。そして旅の助けになるようにと、名だけの魔法の笛を与えます。

タミーノはついにザラストロの神殿でパミーナを見つけます。しかし、敵地で、タミーノとパミーナは、味方を選び間違えていたことに気が付きます。夜の女王は、実は世界を闇に陥れようとしていたのです。知っていたことが全て間違っていたと気づいたタミーノは、疑念と混乱に満たされます。

そこでタミーノとパミーナは、新たな試練を乗り越えなければいけなくなりました。3つの知恵の試練を乗り越えて初めて、太陽が闇に打ち勝つことができます。魔笛の力を借りて、2人は試練と、夜の女王による妨害を乗り越えることができました。彼らは神殿に迎え入れられ、王国の均衡を取り戻しました。

この奇妙なおとぎ話の多くの点は、モーツアルトがかかわっていたフリーメイソンから来ています。フリーメイソンとは、ヨーロッパの友愛的組織です。その歴史、シンボル、儀式などは主に中世から続いています。しかし、モーツアルトの時代のは、18世紀のヨーロッパの理想主義に影響を受けたものでした。合理性、人文主義、王政や宗教に対する懐疑主義です。フリーメイソンのシンボルや、啓蒙運動の理想は、オペラを通して表されています。まるで陰謀のように聞こえるかもしれませんが、当時は本当に陰謀のようなものでした。今ではこの説は認められていて、学術的な論文も発行されています。

例えば、夜の女王は、ローマ帝国の女帝であったマリア・テレジアを表徴していると主張している学者もいます。彼女はフリーメイソンに反対し、オーストリア内で禁止令をだしました。

力尽きたので続きは後日書きます

難しい単語

0:32 devour むさぼり食う、悩ませる

0:36 slay 殺す、笑い転げさせる

0:48 singspiel ドイツのセリフ入りのコミック系オペラ

0:54 premiere 初日、初演

1:14 summon 呼び出す、召喚する

1:26 titular 名だけの、有名無実の、

2:03 sabotage 破壊行為、妨害

2:18 fraternal 友愛の、兄弟の

2:45 conspiracy 陰謀の

3:15 masonic フリーメイソン

【リスニング】医学部のディズニーミュージカル

今回はカナダのアルバータ大学が作ったパロディミュージカルを紹介します。

ディズニーに出てくる曲の歌詞を変えて、医学部に進学するミュージカルにしています。ふざけた動画ですが、学校に関する単語や医療用語を学べます。

動画を見れば気が付くと思いますが、いろいろな人種の人がいます。カナダはもともと移民が多い国で、しかも留学生もたくさん受け付けているので、特に大学はとてもグローバルです。個人的には、アメリカよりもグローバル化していると思います。

動画

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難易度

進学や成績に関する単語が登場します。そもそも日本と違う教育システムなので、さすがに意味を推測するのは難しいかもしれません。

しかし、下に歌詞が出てるし、速い曲はないので、聞き取るのは簡単だと思います。

難しい単語

0:17 resume 履歴書(大学の入試で提出したりします)

0:22 MCAT アメリカ、カナダの、医療大学用の入試。Medical College Admission Testの略です。

0:26 GPA 日本でいう標準偏差。カナダでは、1~4までで、4が最高です。

0:35 fundraising  主にチャリティーのために、ものを売ったりショーをしたりして資金を集めること。

0:43 reference 推薦状

1:00 degree 学位

1:02 honours degree 特に優秀な学生に与えられる名誉学位 

1:11 MMI Multiple Mini Interview の略。シナリオを使った面接です。一回きりの面接ではなく、何回もやるので、受験者の人格を見極めやすいです。カナダの大学が始めて、今ではいくつもの大学が採用しています。

1:15 entry fee 受験料

1:24 stetheoscope  聴診器

2:10 Gregory House Houseという、アメリカの医療ドラマのことです。

2:25 lube 摩擦を減らすこと

2:57 strutting もったいぶって歩くこと

3:02 six figure 六桁の数字。カナダドルで6桁なら、日本円の100万の位です。

3:33 malady  病気

3:37 herpes ヘルペス、疱疹

4:32 hop-scotch あちこち飛び回ること

4:33 premed 医大予備課程の生徒

4:45 thigh ふともも

4:53 electrolyte 電解質

5:23 dope 元々麻薬という意味ですが、スラングではAwesomeと同じ意味です。

5:40 scrub ごしごし洗わなければいけないもの

5:40 hoard 溜める

6:17 pad ここでは、きちんと用意する、という意味で使われています

6:17 CV Curriculum Vitaeの略で、履歴書という意味です。

7:48 IV 静脈の、静脈

8:19 stroll 散歩する

内容

はっきりとしたあらすじはわかりませんが、(コメント欄でいろいろ推測がなされているので気になる方は読んでみると良いです)医者を夢見る医療高校の男の子(全身バットマンの人)に対して、現役医大生が歌いかける、という内容です。

最初のリトルマーメイドは医大の試験を受ける前の歌

次のライオンキングの曲は医大の合格通知をもらった時の歌

アラジンのデュエットは、医大の中でもだらだらしてる人たちの歌

最後のムーランの歌は、本気で医者を目指している人たちの歌です。

背景の動きも凝っていて面白いです。

 

こういった、本物の大学生たちによって作られたパロディーミュージカルの動画はYouTube上にたくさんあります。専門的な単語が出てくるので難しいかもしれませんが、理解できると面白いので、ぜひ見てみてください。

【リスニング】なぜフランス革命は起こったのか

フランス革命はなぜ起きたのかを簡潔にまとめているビデオです。

フランスの歴史を知っていなくても理解できるくらい良くまとめられています。

動画

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難易度

プロのナレーターなのでとてもはっきり話してくれています。話す速さは標準的なナレーションよりも少し早いくらいです。

政治や思想について話しているので、難し単語もいくらか出てきますが、物語性がある内容なので意味を推測しやすいと思います。歴史が好きな人は知ってる単語が多いはずです。

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要約

人々はどのような権利を持っているでしょうか?それはどこから来るのでしょうか?誰が、どんな権威を持って決定を下すのでしょうか?そして、人々の必要を満たすために、どのようにして社会を形成できるでしょうか?

このような疑問が、フランス中に疑問を抱かせました。

18世紀末に、啓蒙運動と呼ばれる、思想と芸術の転換がありました。哲学者や芸術家は、伝統と宗教に反対して、理由と自由を求めました。中階級の人口増加と、印刷技術の発展もあり、人々の政治に対する関心は高まりました。

当時アメリカはイギリスから独立しましたが、その頃フランスはまだ古典的な政体で、社会階級もはっきりと分けられていました。君主、教会関係者と貴族、そして商人と職人と百姓です。商人、職人と百姓だけが税金を課せられ、王と貴族たちはその税金で贅沢に暮らしていました。

しかし、イギリスとの長期戦争とアメリカ南北戦争の支援のせいで、フランスの経済は傾いてしまいました。王であったルイ14世に任命された経済大臣ネッケルは、政府の経済状況を公開し、税制改革をして大衆の支持を得ました。しかし王の側近はこれに反対したので、王は3つの階級の代表者で話し合う、三部会を開きました。人口の98%は第三階級でしたが、話し合いの権利は代表それぞれに対して平等に与えられました。もちろん、上級階級は特権を失いたくなかったので、第三階級の肩を持ちませんでした。

彼らの声は聞かれず、これでは生活は変わらないと気が付いた民衆は、新しい政体を作ろうと決意しました。しかしルイ16世は、また話し合いを持つように勧めて、人気だったネッケルを辞めさせてしまいました。

これに対して民衆と、民衆に同情した兵士たちは、王権の象徴、巨大な武器庫であったバスティーユ牢獄を襲撃しました。革命が始まったのです。革命が国中に広まるとともに、封建制度は廃止されていきました。

民衆の集会が宣言した民衆と国民の人権は、当時は革命的な思想でした。人間にとって人権と自由は必須であり、政府はそれを守る為だけに存在するという考え方です。

特権を失った多くの貴族は国外へ逃げて、他の国々の王に、フランスを侵略して過去の秩序を取り戻すように懇願しました。

一方フランスに取り残されたルイ16世は、自らの未来を案じて、1791年に逃亡を試みますが、失敗し、王家は投獄されました。裁判の後、王は公開処刑され、1000年にもわたった君主政治は幕を閉じ、フランス第一共和制が設立されました。

その9か月後、贅沢好きで「ミセス赤字」と呼ばれてもいたマリー・アントワネットも処刑されました。しかし、革命はそれだけで終わりませんでした。

政府を変えるだけで満足しなかった革命家たちは、フランスの社会そのものを変えようとしたのです。宗教、通りの名前、カレンダーさえ変えました。

マクシミリアン率いるジャコバン党員たちは、自分たちに異議を唱える者を2万人以上処刑し、恐怖で政治を支配しましたが、やがて衰退しました。その間、フランスは隣国の王たちと戦争をしていました。王たちは、革命が広まる前にそれを消してしまおうとしたのです。

そんなカオス状態の中で登場したのがナポレオン将軍でした。革命の民主主義性を守ると宣言し、皇帝となりました。

フランス革命を通して、10年間でフランスには3つの憲法と5つの政府を持ちました。1871年までは王政設立と反逆の繰り返しでしたが、71年には議会が設立されて、安定しました。

難易度の高い単語

1:04 monarch 君主

1:20  peasant 小百姓、田舎者

2:36 constitution 政体

3:04 feudal 封建制度

4:36 dissent 異議

4:49 strangle 抑える、殺す

【リスニング】18世紀のドレスの着方【上流階級編】

中世ヨーロッパのドレスはどれも綺麗ですよね。日本の着物の着付けが大変なように、中世ヨーロッパのドレスも着付けが大変です。着物よりもたくさんのパーツがあり、メイド無しで着るのは難しいです。

今回はそんなドレスの着付けを、イギリスの博物館が解説しているビデオを紹介します。

 

動画

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難易度

イギリスのリバプールにある国立博物館の動画なので、もちろんアクセントはイギリス英語です。慣れていない人にとっては聞き取りにくいかもしれません。しかしスピードはゆっくりです。

内容的には、衣服に関する単語が沢山出てきますが、それ以外で難しい単語や表現が出てくることはありません。衣服に関する単語も、動画を見ながらだと意味を察しやすいと思います。

内容

二人のメイドが、一人のお嬢様の着付けを手伝っています。

リネン製の肌着は、「シフト」と呼ばれていて、肌の上に直接着ます。洗うこともできて、服を汗などの湿気から守り、肌を洋服との摩擦から守ります。これは見えてはいけない服で、パンツなどの穿くものはありませんでした。

羊毛やコットン、シルクなどでできた「膝ストッキング」は、機械生産だったり手編みだったりしました。「クロックス」と呼ばれる刺繍が足首のあたりにほどこされてます。ビザ上に「リボンガーター」が締められていましたが、歩いたり踊ったりするときは、ひざ下にガーターを締めて、そこにストッキングを巻き付け、ずれないように固定しました。

「ディッキーペチコート」は、白いリネン製のひざ丈ペチコートです。保温と上品さのために着ました。

「ステイ」は何層ものリネンからできていて、クジラのひげで締めます。平たく無地のものもあれば、布で飾られているものもありました。これは、体の形を、18世紀の特徴である、平らな背中、円錐形で細いウエスト、そして高い胸に矯正しました。

「ポケットバッグ」は、布の紐についていて、ウエストで締められ、おしりの高さにつけます。スカートの左右は空いていたので、そこから手を入れて使うことができました。無地だったり布で飾ってあったり、刺繍されていたり、この動画のようにパッチワークでできていました。きちんと結ばれていないと、ポケットが落ちてしまうこともあります。ルーシー・ロケットはポケットをなくしてしまい、キティー・フィッシャーがそれを見つけました。ペニー硬貨すら入っておらず、リボンが巻かれていただけでした。(ルーシーとキティーは、イギリスの子守歌に出てくる人物です。下に歌詞を載せておきます)

「パニエ」またの名を「ヒップパッド」は、スカートを押し上げて、細いウエストを強調するために着られました。ヒップパッドは、先が細くなっている巻かれた布で、ウエストに巻かれました。いろいろな素材でできていて、羊毛のもあれば、コルクで作られたものもありました。

少なくとも一層の丈の長いペチコートを着ます。冬には、ペチコートの下に、羊毛でできた刺し子が着られました。

日中は、シルクかリネンのネックカチーフかフィシューを、保温と上品さ、そして直射日光を避けるために、胸のあたりで結びました。洋服の中にはさんだり、肩にかけたりもしました。胸の前で交差させて、背中で結ぶ着方もありました。

「スタマッカー」は、体の正面に来る、布の飾りパネルです。補強して硬くしたり、裏地を付けて硬くしたりしました。下に着ているステイに留めるために、両側に三つのタブがあります。スタマッカーは豪華に飾られていて、いろいろな洋服と合わせて着たり、同じ生地や模様の服と合わせたりします。

「ガウンペチコート」は、ガウンと対照的な色だったり、同じ色だったりしました。シルクやリネンで縫われていて、サイドにポケット用の切り込みがあります。寒い日には繊細な刺し子の入ったペチコートも着られました。

「ガウン」はスタマッカーの端にピンで留めて着ます。メイドはエプロンによだれかけのような胸当てを付けて、そこにピンを刺していました。pinafore(子供用エプロン)という言葉の由来です。そこにピンを指すことによって、女主人の着付けの準備をしたのです。ガウンのスカート部分にあるリボンを結んで、スカートを軽く上げます。

「デイキャップ」は全階級の人々が着ました。実用的なものから、装飾用まで様々です。

最後に、薄いシルクか刺繍された織物でできたエプロンを着ます。実用性はありませんが、着ている人の地位を示すために着られました。お金をかけている、ということを引き立てるためのものです。

 

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補足

途中、ルーシーとキティーの話が出てきましたが、これはNursery Rhymeと呼ばれている、イギリスやアメリカの子守歌の一つです。

Lucy Locket lost her pocket,
Kitty Fisher found it;
Not a penny was there in it,
Only ribbon round it.

意味にはいろいろな説がありますが、明らかなのは、ルーシーは貧しく、キティーは美しいお金持ちだったということです。モデルになったのが誰なのかも諸説あり、どれも確かではありません。

ポケットにリボンを巻き付けるのは当時の売春婦の習慣であった、という説も存在します。詳しくは下のリンクに書いてあります。

Origins: Lucy Lockettreasuryislands.wordpress.com

 おまけ

メイドさんのいない労働階級の人たちは少し違う方法でドレスを着ます。その解説はこちら。

reinaeitan.hatenablog.com

 

 

 

 

【洋書】Fahrenheit 451

この前も紹介したRay Bradburyですが、今回は彼の短編ではない作品を紹介したいと思います。

 

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世界観

これは未来、本を読むのが禁止されて、人々が機械に囲まれて生活する世界の話です。この世界の消防士の仕事は、火を消すのではなく、本と、その本を持っていた人の持ち物全てを焼き払うことです。危険な本を焼き払うことで世界の平和を守る、それが消防士であり、主人公も消防士でした。

人々は機械を「家族、親戚」と呼んでいて、本物の家族ではなく機械と会話します。機械はいつもトレンドや楽しいメディアを発信しているので、人々はそれを見て楽しみ、物事について深く考えたり、生産的なことをしません。そんな世界での物語です。

テーマと分析

この小説にはいくつかのテーマがあります。テクノロジーと近代化、文学、規則、暴力、アイデンティティー、知恵、不満足、自然と人間、などです。

分かりやすいのはテクノロジーと近代化です。小説では、人々は大きなスクリーンを親戚と呼び、ほとんどの時間をそれを見て過ごします。

実はこれはテレビの象徴です。人々は家族と話したりするよりもテレビを見ることを好みます。自分で趣味や興味をそそるものを見つけて調べるのではなく、テレビが勧めるものを良いものだと思い、テレビの発信する雑学などを受身的に学びます。

物について真剣に考える時、人は幸せではないことが多いです。でも何も考えずにぼーっとテレビを見ている時、人は幸せだと感じます。頭を使わないからです。(化学的にも、テレビを見ているとき脳が働いていないということは証明されています)なのでテレビはこの小説で「悪」とされています。

これをRay Bradburyは何十年も前に予想しましたが、今の状況はこれにとても近いですよね。強いて言えば、テレビではなくてスマホですが、人々が画面に夢中になって、人と人とのかかわり、そして自らの学びを失いつつあるのは事実だと思います。

 

他にも、いろいろな主張がこの本に隠されています。詳しく知りたい人は、Shmoopというサイトに行くと、隠されたテーマや、キャラクターの性格の分析などを見ることができます。

www.shmoop.com

 

Shmoopについて

Shmoopは、いろいろな本や劇の意味や分析などを載せているサイトです。特にシェークスピアなどの分析は優秀です。本を読んだ後に、その本のテーマやシンボルを調べたいタイプの人にお勧めのサイトです。